恥ずかしながら、数十年毎日繰り返しているわりに起床がいっこうに上達しない。旅先でもそれは変わらず、早起きできたためしがほぼないままだ。宿のオプションで朝食をつけておいても、時間までに起きれず食べそびれることが本当に多い。自分の眠気は、食欲に勝つ気が毛頭ないみたいなのだ。好きな言葉は「チェックアウト11時まで」。ドーミーインはその点、素敵なホテルチェーンと思う。
朝ごはん天国との呼び声の高い台湾でもそれは変わらず、今日もしっかり10時に起きてしまった。数回のスヌーズのあと、目覚ましの設定をそっと変更して、ロスタイム的ななにかを勝手にたくさん作った。宿泊していたホテルのチェックアウトは11時。ありがてえと感謝しつつぎりぎりの時間で受付の方にカードキーを返却。トランクをえいっと持ち上げながら階段を上りあげ、外に出たらすっかり夏だった。
今日は台湾の南のほう、高雄まで鉄道で向かう。当日ぶっつけでふらふらとチケットを買いに出かけたところ、直近の特急が数本満席。最短でとれたのが15時台北駅発のものだった。出発まであと3時間もある。早めの事前予約の大切さを身をもって知る。
台北駅の1階には、ものすごく広い吹き抜けがあって雅叙園みたい。贅沢な空間の使い方だなぁと惚れ惚れする。白と黒で構成された地べたに何も敷かず、どすんと座ってお弁当を食べる人がちらほらいた。日本ではあまり見かけないタイプの景色。ゆえに自分は地べた座りでのお弁当は、ちょっと躊躇してしまうんだけれども、こういうおおらかさ自体はなんか好きだ。芝生じゃなくてもピクニックはできると勇気づけられる。
移動時間は5時間近くあって、鉄道移動にこんなに長時間費やすのは久しぶりである。久しぶりすぎたからかおぼつかず、移動中に何度か「でも、なにかもっとした方がいいんだっけ」「これでいいんだっけ」と時間の使い方に対して不安になることがあった。
自分の時間の使い方のへたさを嘆くなら、朝食を食べ損ねがちなことや、鉄道のチケット予約をしておかなかった後悔のほうを優先してほしい。へたしたらもう二度と見られないかもしれない車窓がそばにあるんだから、それだけでもう十分ってことでいいんじゃないの。なのに、なんでいま。
ざわざわする気持ちを制するように、Kindleで読み途中だった本を読みすすめていたら、思いのほかスカッと読み切れた。どんなにおもしろい本であっても1冊読み切ることが得意じゃない性質ゆえ(ほんとうによくないたちだと思っている)液晶の端っこの100%の文字に安堵を覚える。で、さらにもう一冊読みはじめてみた。しばらく前に読んだっきり読みかけたままになっていた本。こちらも、予想をはるかに超えてするするっと入ってきた。
景色を見る、また本を読む、景色を見る、本を読む。ずっと繰り返し。これってわりと理想的な休暇の過ごし方なんじゃないだろうか。だからもっと大船に乗った気持ちで移動をエンジョイしてほしい。
数日後には台北に戻る。帰路のチケットは早めに買う。

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