春が来たらしい。風の配合成分に草の芽のにおいが混ざり始めている気がする。
ここ最近、世界が全然平和でないことを明確に自覚した。うすうすわかってはいたけど、おいしいものや楽しい娯楽で自分をくるくる囲んで、悪いものはなるべく見えないように、見えないようにって、異様なまでに張り切っていた。この頑張りは、自分を沈ませないために必要なやつではあったのだが、一度覚めてしまったら、しばらくは見えないことにできそうもない。
いま、由々しきことではあるけど、世界各地で紛争は常態化していて、じじたちの権力の暴走はますます加速していきそうな気配だ。ブレーキが効かなくなった車は、いつこちらに突っ込んでくるのかわからない。
ちゃんと信号を守って横断歩道の上を丁寧に歩いていても、突っ込まれるときは突っ込まれるのである。……なんていう話はあまりに元も子もないけど、居住国に平和な憲法があるとしても、いつ何時不測の事態があるとも限らなくて、足元は、ほんとうは常にぐらぐらなんじゃないだろうかと思う。
それってつまり、誠実であることが、なんにもむくわれないシステムってことなのか。最悪だ。
最近はずっと、何をしていても脳の端っこのほうに埃が溜まっているようなざらざらとした感触があって、気持ちが悪い。
ところで昔、私はとても最悪だった。七夕の時期、短冊に「世界平和」と願いごとが書かれているのを見て、「なんか大きなことを言ってんな〜」と涼やかに眺めていたのだ。
ふざけんな。
世界が平和じゃないとお前の平和は成り立たないんだぞと言いたい。
世界が平和じゃないと、よっぽどの権力者でもないかぎり、だいたいの人は深刻に困るのだ。

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