台湾4日め。今日も今日とて、ゆっくり起床。窓のない部屋での起床は、起きる胆力がいつも以上に試される。しかし私の気合いは、今日も今日とて足りておらず、まどろみたいという強い思いに、今日も今日とて大敗。しばらくうとうとしてからゆっくり起き上がると12時をまわってた。
朝ごはん食べよう。いや昼ごはんだな。
出発前にGoogleマップをながめまわす。高雄の街には、なんというのかな、まったりした雰囲気のカフェのランチで見かけるような、野菜もりもりのワンプレートごはんも結構多いみたいだ。オムレツやおにぎり、フォカッチャっぽいパン、具がしっかり煮込まれていそうなカレーなんかもある。
これらはしばしば「一見、台湾っぽくない」顔をしているため、「果たしていま、旅行中の大切な一食として食べるべきプレートなんだろうか……?」という気持ちを生む。でも、じゃーいつ食べるんですか、と聞かれたらまったくわからない。というか、いま食べなかったらもう食べないかも……。
悶々と考えているうちに、彼らワンプレートたちも、ランチ候補にどどどどどどどどん!と浮上してくるのだった。
そうなのだ。旅行というとついつい、その土地ならではの食べ物を食べたいと願ってしまうけど「その土地ならでは」の範囲って思いのほか広い。その土地の郷土料理だけとは限らないのだ。
だって、よくよく考えてみれば、名古屋のイタリア料理屋のパスタと岐阜のイタリア料理屋のパスタを作ってる人は、別の人。京都の評判のいいイタリア料理だって、香川でいちおしといわれているイタリア料理だって、どれもこれも、その場所だからこそ食べられるともいえる。
店ごとの具体的な私情までは知り得ないけれども、きっとそれぞれなんらかの理由で、その土地で商売をする決心を固めたシェフが、心と力を込めて作っている、そこでしか出合えない逸品なのだろう。だからこそ、いま自分が一番食べるべきごはんを選ぶのは相当な難題だ。
しかし我々は選択せねばならない。難題を乗り越えて、Googleマップで目星をつけていたお店に向かった。1時間待ちとのこと。仕方ない。諦めて別の目星をつけていたお店に向かう。豚肉と春雨のたっぷり入ったスープのお店。スープの味が、じわじわと染み入る優しい味。ものすごーくホッとした。日本でも、こういうスープが飲めるお店があったらいいのにな。現状でいちばん近いのはスープストックトーキョーだろうか。やや、私が知らないだけで、ほかにもいろいろあるのかもしれない。でも、似た味はあるかもしれないけど、同じ味は、ここにしかない。
スープを飲み干したあとは、電車に乗ったり歩いたりしながら街のなかをずっとうろうろ。太陽があまりにぎらぎらしているものだから、いま欲しいものリストの1位にサングラスが急浮上した。汗のにじみがだんだん深刻になってきて、一足先に夏をかじったような気持ち。もうこうなったらとことん疲れ果てたい。衝動にかられて、3駅分くらい歩いて、ココナツドリンク、ビール、豆花を買ってホテルに帰宅。肉体を酷使したあとのこの3点セットはたまらない。
そのあとは、急に思い立ってNetflixでシティハンターを観て、VPNを駆使してNHKオンデマンドから大河を観て、まるでふだんと変わらない生活。あえて、そうしたいときってある。
普段とはちょっと違う行動として、Podcastも聴いた。SpotifyのTOP画面に偶然出てきた「へんなお茶会」をアイキャッチに惹かれて聴いてみたらとってもおもしろくってほくほく。夜に聴きたい声色。
そういえば、これまであまりラジオとかに触れてこなかったのだが、人の話し声がいつでも聞けるのって文化として、文明としてめちゃくちゃ最強じゃん。しかも、時に彼らは、普段少し奥にしまっているような大事な思いについても語ってくれている。い、いいのだろうか。
こういったものに触れていると、私はわりと簡単にひとりじゃない気がしてくるたちだ。さみしさとさみしさとして、味わい尽くす機会が少ないのは、こういった性質のせいもあるのかもしれない。いいことなのか、悪いことなのかはわからない……というか、どっちでもあるし、どっちでもないんだろう。

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