重めの風邪をひいたり、確定申告をしていたりしたら、あっというまに1か月近くの月日が流れていてひいい!ってなった。長らくうっすら具合の悪い日が続いていて、夜18時を超えると横向きにしかできなくなる自分にぐったりしていた。部屋の隅に落ちた毛髪やら埃が溜まっていくけど、それを集める気力がどこにも残ってなかった。
残念ながら、我が家にはルンバみたいな仕事のできすぎる掃除機は住んでいないから、私が片付けないゴミはそのまま、日に日に存在感を強めていく。ゴミが隅に隅に、そしていつのまにか中央にも積もる。その集合体と目が合うたび、背中がぎゅんっとまるくなる。かろうじて料理はできているけど、意識して栄養を摂っても摂っても、それでぶわっと元気になれるとかでもなく、まさか、このままずっとこんな感じだったらどうしよう、と不安にかられた。
でも、永遠というのは相当レアな存在らしく、今回の風邪もいい意味で諸行無常だった。気がついたら勢力は弱まっており、ちりとりとほうきを手に持って、さくさくと動かせるところまで回復していた。ゴミたちはふわふわの灰色の塊になってゴミ箱のなかへ吸い込まれていった。
村田沙耶香さんの長編小説『世界99』を手に取ったら、900ページ近くを約2日程度で読み干していた。なお、遅読なうえに気が散りやすい人間が、2日で読み切るというのはつまり、睡眠時間やほかのタスクにかかる時間を結構はしょって、優先順位をごちゃごちゃにしたからでもある。夢中の状態を久しぶりに味わった。
ちなみに『世界99』はどちらかというと、刺激が強い小説なのかもしれない。公式ホームページにはトリガーアラートといわれる、注意事項が切々と書かれていて、確かに、トラウマが蘇る可能性のある描写も多々あった。私自身、まったく無傷で完走した気はしていない。読むたびにどろっとした重いものが、体内で左右に揺れていて、時折細かい砂が足元に散らばった。まだ、いまでもざらざらの感触がのこっている。だけど、かつての傷を思い出したいとき、かさぶたを剥がしてしまいたいとき、膿んだ傷をまっすぐ直視したいときってどうしてもある。
「性格がない」という主人公を見ながら、そういえば、そもそもなぜ私は、自分に性格があるなんて確信できていたんだっけ? と輪郭がぐちゃぐちゃになり始めている。この作品に出てくる生き物「ピョコルン」が、このあと半年以上は脳の中に滞在しそうでどきどきしている。

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